5thソロアルバム「蒼を奏でる」

蒼を奏でる

ケルトの伝統的な金属弦ケルティックハープ奏者「坂上真清」5thソロアルバム。ソロ名義では初のオリジナル曲集。ハープソロ9曲、ホイッスル&フィドル フェオエ とのアンサンブル3曲の計12曲収録。

~CD帯より~
ケルトの伝統的スタイルである金属弦ケルティックハープ奏者「坂上真清」の叙情的できらびやかなオリジナル曲集による5枚目のアルバム。神秘的で深い余韻のある金属弦の響きも美しい。またハープソロ以外にホイッスル、フィドルとのアンサンブルによる演奏も収録。

オフィシャルネットショッブ ケルティックハープマーケット にて販売中。またその他 Amazon など各ネットショップでも購入出来ます。

ケルティックハープマーケット ではダウンロード配信も行っています。(曲別ダウンロードも可)

制作 販売 Office Bunting  OBCDB-6005 ¥2750 (税込)

 

*全12曲を個別に紹介したショート動画を YouTube ポッドキャスト にまとめました。

*蒼を奏でる   全曲クロスフェードメドレー

 

All Composed by Masumi Sakaue

01 ローズマリー
02 エルサビオ
03 蒼色のしじま
04 イノセント
05 ウィンディライズ
06 協会残照
07 空とそら
08 風の色
09 ローザのテーマ
10 3月の鐘
11 まほろば
12 蒼色のしじま (ハープソロ Ver)

03. 07.10 by フェオエ
・庄司祐子 (ホイッスル)
・中藤有花 (フィドル)
・小谷和秀 (アップライトベース) ゲスト

 

【ライブ映像 on YouTube】

4P

 

【各曲解説】

01. ローズマリー
妖精の市場に迷い込んだローズマリーは食べると妖精の虜になる果物を食べてしまいついには自分の髪を売ってまでも手に入れようとする。かつて在籍した”Vermilion Sands”の為に作りその後2002年「サークルカラー」収録予定だった曲。

02. エルサビオ
中世カスティーリャ国王”アルフォンソ10世”は学芸の振興に努めエルサビオ(賢王)と呼ばれた。聖母マリアのカンティガ集の編纂でも有名。2010年「ムジカハンドリオン」収録曲のハープソロによるリメイク。

03. 蒼色のしじま
タイトルのイメージは夜明け前に訪れる深遠な蒼の世界。庄司祐子さん中藤有花さんとのユニット”フェオエ”が参加した2012年の平泉世界遺産記念CD「久遠の鐘」収録曲のニューレコーディング&リミックス。

04. イノセント
東京演劇アンサンブル創立60周年記念公演”無実”の音楽を担当した時の曲。主人公の1人である盲目の踊り子アブゾルートのテーマ曲。彼女は目の手術の失敗を乗り越え前を向いて生きていく事を決意をする。

05. ウィンディライズ
3月の風の強い日に開催された二子玉川ライズ震災復興ライブに”フェオエ”が出演した時の印象を元にした曲。アイルランド盲目のハーパー”O’Carolan”風なメロディーとアイリッシュダンス音楽ジグのリズム。

06. 協会残照
アイルランドを旅すると朽ち果てた教会跡に出会う。その中にたたずむと遠い過去からの風が体の中を吹き抜けてゆく錯覚を覚える。2010年「ムジカハンドリオン」収録曲のハープソロによるリメイク。(曲タイトルは協会残照)

07. 空とそら
平泉に行った時の印象を元にした曲。奥の細道で松尾芭蕉に同行した門人の”曾良”。旅先で見上げた彼の目に奥州の美しい空はどう映ったのか。「久遠の鐘」収録曲のニューレコーディング&リミックス。

08. 風の色
以前続けていたハープソロライブ”音の歳時記”という名前から生まれた曲。四季にはそれぞれの風の色があり季節の変わり目にもきっとそれはあるはず。風に吹かれると心地よい気持ちを音に。

09. ローザのテーマ
東京演劇アンサンブル”無実”の音楽を担当した時の曲。主人公の1人であるローザという女性のテーマ曲だがある意味”無実”という芝居全体のテーマ曲と言ってもいいもの。

10. 3月の鐘
「久遠の鐘」ラストに収録された未来への希望を託した曲のニューリミックス。雪に閉ざされた世界に春の訪れを告げる鐘の音が聞こえると少しずつ雪が解けだし水滴はやがて大きな水の流れとなっていく。

11. まほろば
「久遠の鐘」収録曲のニューレコーディング。タイトルは素晴らしい場所と言う意味の日本の古語。寂しさの中にも光が差し込んでくる様な平泉の世界感と初代当主”藤原清衡”の浄土思想に寄り添う。

12. 蒼色のしじま (ハープソロバージョン)
M3のハープソロバージョン。ライブではよく”まほろば”と続けて演奏したのでそれに倣う形で収録。”蒼色のしじま”はある意味青い曲集「蒼を奏でる」の世界観の元になった曲でCDタイトルも由来している。

 

バックインレン裏

 

1面

2面

 

 

 

 

4thソロアルバム「サークルカラー」

サークルカラー ジャケ

この サークルカラー は元々2002年に2ndソロ用としてレコーディングされた未発表音源をリニューアルした作品集。ケルティックハープと多彩なゲストの楽器とのアンサンブルがカラフルなケルトのトラッド世界へ誘う。アイルランド、同じくケルト地域のブルターニュ、そして後にアニメ 灰羽連盟 のサントラ ハネノネ にWonderingとしてリメイクしたオリジナル曲も収録。

20年も前になりますが参加してくれた演奏家の方達には改めて感謝を伝えたいと思います。(各曲共演者の詳細は下記に記載しています)
そしてその中の1人で2022年に旅立たれた故 吉田文夫さんにこの作品を捧げたいと思います。

 

サークルカラー ~Circle Colour~ (OBCDB-6004    Office Bunting)

ダウンロード配信は新しく開設したオフィシャルネットショッブ ケルティックハープマーケット にて取り扱っています。(1曲単位から可能です)
また Amazon、Apple Music(iTunes) からも入手出来ます。

各主要サブスクサイトにてストリーミングも配信中です。CDの発売はありません。

 

約6分の 全11曲クロスフェードメドレー  をYouTubeにアップ中です。

各曲の解説はこちらの ブログ にアップしました。 

 

01 Jug Of Punch / Paddy Ryan’s Dream
{Irish Trad}
with 安井敬 (Low Whistle)

02 Hewlett Waltz
{Turlough O’Carolan}
with 牛沢朗 (Cittern)、飯田知子 (Irish Flute)

03 King Of Fairies / Fairies Hornpipe
{Irish Trad}
with 柳澤聡美 (Concertina)

04 Bruach Na Carraige Baine
{Irish Trad}
with 飯田知子 (Irish Flute)、安井敬 (Whistle)

05 Drunken Tinker / Ivy Leaf / Wild Irishman
{Irish Trad}
with 吉田文夫 (Button Accordion)

06 Lord Mayo
[David Murphy}
with 牛沢朗 (Cittern)、飯田知子 (Irish Flute)

07 Tipperary Hills / Dever The Dancer
{Irish Trad}
with 安井敬 (Whistle)

08 Isabella Burke
{Turlough O’Carolan}
with 安井敬 (Whistle)

09 Charlie Lennon’s Mazurka / Donegal Mazurka
{Charlie Lennon / Irish Trad}
with 飯田知子 (Irish Flute)、柳澤聡美 (Concertina)

10 Santez Mari, Mamm Doue / Gavotte / Plinn
{Breton Trad}
with 牛沢朗 (Guitar)、赤澤淳 (Fiddle)

11 Dingles View
{Masumi Sakaue}
with 西嶋佐知子 (Fiddle)、安井敬 (Whistle)、柳澤聡美 (Concertina)

*Dingles View は後にアニメ「灰羽連盟」のサントラ ハネノネ に Wondering としてリメイクされました。

 

安井敬 (ホイッスル) 01. 04. 07. 08. 11
飯田知子 (アイリッシュフルート) 02. 04. 06. 09
柳澤聡美 (コンサーティーナ) 03. 09. 11
牛沢朗 (シターン、ギター) 02. 06. 10
吉田文夫 (ボタンアコーディオン) 05
赤澤淳 (フィドル) 10
西嶋佐知子(フィドル) 11

 

 

 

 

 

 

3rdソロアルバム 「ケルティック サクセション ~ケルトの幻影~」

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ケルトの伝統的スタイルである金属弦ケルティックハープ奏者「坂上真清」3rdソロアルバム。これまでの中から選りすぐりのオリジナル曲や18世紀アイルランド盲目の吟遊詩人O’Carolanの作品、ブルターニュやアイルランドのトラッドなど収録。音の揺らぎをテーマにしたきらびやかな音色の響きに中世ケルトへの想いを馳せる。

2018年12月5日 発売
制作 ティートックレコーズ TTOC0030
販売元 ディスクユニオン

CDはオフィシャルネットショッブ ケルティックハープマーケット にて発売中。 ティートックレコーズCD通販サイト  からも入手出来ます。

この作品は今の所サブスク配信、ダウンロード配信の予定はありません。

01. 雨の中のティアラ  (坂上真清)
02. Gentle Maiden  (Irish)
03. ラスモア  (坂上真清)  
04. Lady St.John / Fanny Power  (O’Carolan)
05. She Moved Through the Fair  (Irish)
06. 絵空事  (坂上真清)
07. ギルの湖 (坂上真清)
08. Santez Mari, Mamm Doue / Ar Serjant-Major (Breten)
09. Miss Noble (O’Carolan)
10. メスキータ  (坂上真清)

 

【YouTube】

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【収録曲解説】

1. 雨の中のティアラ ~Tiara In The Rain~
Composed by Masumi Sakaue
霧雨の中静かな並木道を歩いていくと沢山の想い出が詰まった風景が見えてくる。それは気高くもありもの憂げでもある。

2. Gentle Maiden
Irish Traditional
19世紀アイルランドのハープ音楽収集家Edward BuntingがMiss Murphyというハープ奏者から収集した曲。メロディーは18世紀前後にすでに存在が確認されている。

3. ラスモア ~Lusmore~  
Composed by Masumi Sakaue
ケルト民話”ノックグラフトンの伝説”に登場する主人公の名前。彼は妖精と仲良くなり背中のこぶをとってもらう。その後今度は別の男が妖精を怒らせてラスモアのこぶを背中につけられてしまうという日本の”こぶ取り爺さん”と同じストーリーである。

4. Lady St.John / Fanny Power  
Composed by Turlough O’Carolan
Turlough O’Carolanの2曲セット。1曲目はSir John St.Johnという人物の妻のために作られたとされている。2曲目はFrances Powerという女性の結婚式のために作られた。

5. She Moved Through The Fair   
Irish Traditional
アイルランド伝承歌。歌の内容は両親に恋人との結婚を反対された娘が悩んだ末に死んでしまい恋人の夢枕に立つという悲恋物語。

6. 絵空事 ~Imaginary Thing~  
Composed by Masumi Sakaue
絵には美化や誇張が加わるため実際とは違っているという理由から現実には有り得ない夢をつかむ様な話を絵空事と言う。そうだとしたら音楽は絵空事そのものだ。

7. ギルの湖    ~Lough Gill~  
Composed by Masumi Sakaue
初めてアイルランドに行った時北西部スライゴーにあるギル湖を訪れた。その地域はケルト神話にも出てくる神秘的で美しい場所。

8. Santez Mari, Mamm Doue / Ar Serjant-Major
Breton Traditional
大陸のケルトと呼ばれるフランスのブルターニュ地方の伝統音楽2曲セット。1曲目は賛美歌で2曲目は軍曹というタイトルが付いている。

9. Miss Noble
Composed by Turlough O’Carolan
アイルランド盲目の吟遊詩人Turlough O’Carolan(1670-1738)の作品。彼の曲のタイトルには捧げた相手の名前が付けられている事が多いがこの女性が誰なのかは分かっていない。

10. メスキータ ~Mezquita~
Composed by Masumi Sakaue
メスキータとは8世紀に建てられたスペインのコルドバにあるモスク。イスラムとカトリック教会両方の面影が同居しているそんな幻想的な空間に足を踏み入れる。

2,3P

【アルバム解説】

自分にとってこの「Celtic Succession ~ケルトの幻影~」はハープソロとして3枚目のアルバムになります。ここ数年はヨーロッパの民族音楽に影響を受けたオリジナル曲を「ハンドリオン」「スリーラビリンス」として発表してきましたが今回のアルバムには18世紀アイルランドの吟遊詩人”オキャロラン”の作品を含むアイルランドとブルターニュの伝統音楽、そしてこれまでの作品から選りすぐりのオリジナル曲を収録しています。

ケルトの伝統が残るアイルランドやスコットランド、ブルターニュでは中世よりハープを持った吟遊詩人が旅をして貴族の為に曲を捧げる伝統があり彼らが奏でていたのが金属弦を張った小型のハープでした。チェンバロにも似たその煌びやかな音色と深く長い残響音は一般に知られているガット弦やナイロン弦を張ったハープとはまったく異なるものです。

レコーディングにあたり心がけたのは金属弦ハープが持つマジカルな音の”ゆらぎ”を失わないという事でした。この素晴らしい音像のCDから聴こえてくる音色に中世ケルトへの想いを馳せてもらえたら嬉しく思います。 

ケルティックハープ奏者  坂上真清

修正

 

 

 

 

 

2ndソロアルバム 「アイルランド最後の吟遊詩人 オキャロランの世界 The Last Irish Bard」

3000ピクセル

18世紀アイルランド盲目の吟遊詩人オキャロランの曲をケルトの伝統的なスタイルである金属弦ケルティックハープで演奏した2ndハープソロCD。中世ケルトの伝統を受け継ぐバードが旅をしていた伝説の世界へ。古楽ファンにもお勧め。再発に当たり全曲デジタルリマスター。

Office Bunting レーベル OBCDB-6002
販売元 (有)ビートショップ

初回発売日 2006年9月21日
リマスター再発売日 2013年 6月12日

CD、ダウンロード配信は新しく開設したオフィシャルネットショッブ ケルティックハープマーケット にて取り扱っています。(ダウンロードは1曲単位から可能です)
また Amazon、Apple Music(iTunes) 各ネットショップからも入手出来ます。

各主要サブスクサイトにてストリーミングも配信中です。

 

【YouTube】

クロスフェード メドレー

Lord Galway’s Lamentation (ゴ-ルウェイ卿のための哀歌) 

01. Lord Galway’s Lamentation
02. Mervyn Pratt / One Bottle More
03. The Seas Are Deep / Kean O’Hara
04. Lusmore
05. Daniel Kelly
06. Lady Wrixon / All Alive
07. Donal O’Brien / Margaret Malone
08. Little Anita
09. Isabella Burke
10. Richard Cusack / Planxty O’Carolan
11. The Dark, Plaintive Youth
12. Separation Of Soul And Body / Peggy
13. Sunset Child
14. Henry MacDermott Roe (Bonus Track )

 2

【各曲の解説】

1 
●ゴ-ルウェイ卿のための哀歌 ~ Lord Galway’s Lamentation   
John and William Neale が1726年にダブリンで出版した曲集に収録されている。またアイルランド音楽収集家 William Forde (1795~1850) の手書き冊子にもほぼ似た旋律があるがどちらも Carolan のものとはしていない。実は John and William Neale の楽譜が 出版される以前にゴ-ルウェイ卿と呼ばれた人物は2人しか確認されておらずどちらも時間的や立場的に Carolan が哀歌を捧げたと考えるのは難しいとされている。


●マ-ヴェン・プラット ~ Mervyn Pratt   
1780年 John Lee がダブリンで出版したアイルランド曲集に収録された。タイトルはキャヴァン州の議員で州長官も努めた Mervyn Pratt を指していると思われる。  
●あともう一杯 ~ One Bottle More     
Francis O’Neill (1849~1936) が1903年シカゴで出版した曲集 “Music of Ireland” に Ca
rolan の曲として収録されている。またアイルランド音楽収集家 George Petrie(1789 ~1866) の手書き冊子や同じくアイルランド音楽収集家 Edward Bunting (1773~1843) が1809年出版した曲集にもほぼ似た旋律が載っているがこちらは両方共 Carolan の曲とはしていない。

3 
●深き海 ~ The Seas Are Deep    
William Forde の手書き冊子には Carolan のものと記されている。彼は1820年に MacDowell という人物からこの曲を得たらしくそこでは “James MurDoch,Craigarogan” というタイトルになっている。また George Petrie の手書き冊子にもそれと同じタイトルで僅かに異なるバ-ジョンが記載されている。  
●キ-ン・オハラ ~ Kean O’Hara  
George Petrie がクレア-州の音楽収集家であった Francis Keane から採集した。そこでは”Cahan O’Hara”として記録されているが、それを元に1902年出版された Petrie 曲集ではこの曲を Carolan 作とはしていない。しかし1831年に”Irish Minstrelsy” を出版した James Hardiman によって Carolan と Kean O’Hara にまつわる面白い逸話が残されているのでやはり何らかの形で Carolan と関わりのあった人物の可能性は高い。

4 
●ラスモア ~ Lusmore 
タイトルはアイルランド民話「ノックグラフトンの伝説」に出てくる主人公の名前。おとなしく無邪気で優しい性格だが背中に大きなこぶがありその見た目の醜さからまわりの人達からは気味悪がられている。その後彼は妖精達と友達になり背中のこぶとってもらうのだが、今度は同じく背中にこぶのある性格の悪い男が妖精達を怒らせてラスモアのこぶまでもつけられてしまうという日本の「こぶとり爺さん」そのままのスト-リ-が展開していく。 

5 
●ダニエル・ケリ- ~ Daniel Kelly    
John and William Neale の1726年出版の曲集に初めて収録された。Taghboy の行政教区であった Turrock の Daniel Kelly の為に作られたと思われる。Carolan の地元ロスコモン州には Kelly という名の家が多く他にも同じ名前がタイトルになってるエア-は多い。

6 
●リクソン婦人 ~ Lady Wrixon    
George Petrie の手書き冊子より。Petrie は John and William Neale が1721年ダブリンで出版した Carolan 曲集からの引用だとしている。(現在そのペ-ジは紛失) タイトルの人物が誰を指すかは不明。  
●活気あふれて ~ All Alive    
George Petrie の手書き冊子より。そこで彼はこれを Carolan の作品であると述べている。曲の形態はアイルランドのダンス音楽であるジグのリズムだが一般的なジグよりも Carolan 風なメロディ-展開である。またタイトルの “All Alive” は元来の曲名であったかは疑わしくこの旋律はその後の楽譜にも様々なタイトル名で収録されている。

7 
●ド-ナル・オブライエン ~ Donal O’Brien               
George Petrie が1858年に Francis Keane から採集した。彼によれば Carolan の曲という確証は無いものの曲の構成に Carolan 的特徴が出ているという事だがまったく同感である。タイトルが誰を指すかは不明。  
●マ-ガレット・マロ-ン ~ Margaret Malone   
Edward Bunting が1796年に出版した曲集に”Madge Malone”というタイトルで収録されている。Bunting は1792年に開催されたベルファ-ストのハ-プ音楽祭でも演奏したハ-プ奏者 Rose Mooney からこの曲を得たらしい。題名はおそらくウェストミ-ス州 Kilcleagh 教区にいた John Malone の娘 Margaret だと思われる。彼女は一生結婚しなかったが Carolan の地元である Kilronan の人たちとは知り合いだったことが明らかになっている。

8 
●リトル・アニ-タ ~ Little Anita  
初めてアイルランドに行った時にとてもお世話になった家族がいて、その時仲良くなった金髪にいつもピンクのヘア-バントをしていた小さな女の子との思い出。 

9 
●イザベラ・バ-ク ~ Isabella Burke   
Edward Bunting が1796年に出版した曲集に収録されたが彼自身はこの曲を Carolan のものとはしていない。しかしより信頼のある人達の証言として、メイヨ-州にある Castlebar 自治州代表者だった Thomas Bourk 一族の誰かの為に Carolan が作曲した可能性が高い。

10 
●リチャ-ド・キュ-サック ~ Richard Cusack   
Edward Bunting が1809年に出版した曲集に”Young Cusack”として収録された。この曲についている歌詩は Carolan 作の可能性があるためその詩とリズムが合致している曲も本人のものかも知れない。Carolan の伝記の著者 Donal O’Sullivan (1893~1973)は曲詩共に Carolan 的であるとしている。タイトル名はロスコモン州の Rockfield にいた Cusack 家の一員だと思われる。   

●プランクスティ-・オキャロラン ~ Planxty O’Carolan
Francis O’Neill の曲集 “Music of Ireland” に同タイトルで収録されている。ただしこの楽譜で Carolan の作とされているその多くは今日では違うように思われる。この”Planxty O’Carolan”に関してもはっきりとはしていないが曲はとても Carolan 的。

11 
●暗くもの悲しげな若者 ~ The Dark, Plaintive Youth   
アイルランド音楽収集家 John Edward Pigot (1822~1871) の手書き冊子にはこの Carolan の曲は19世紀のイ-リアン・パイプ奏者であり音楽収集家であった Patrick Carey の原稿から得たものだと記されてある。しかし歌詞の内容がジャコバイトソングである為今日では Carolan のものではないとする意見も多い。  
*ジャコバイトソング・・・18世紀スコットランドで旧王家を支持する人達をジャコバイトと呼び彼らとイングランドとの戦いにまつわる内容を歌ったもの

12 
●魂と体の別離 ~  Separation of Soul and Body   
John and William Neale の1726年の曲集に初めて収録されその後 George Petrie の手書き冊子には ~Separation of Soul and Body, Carolan 氏より寄贈~ と記されてある。タイトルの真意ははっきりしないがその曲調からエレジ-(哀歌)的なテ-マを持つ曲ではないだろうか。  
●ペギ-・モ-トン ~ Peggy Morton   
初出は Edward Bunting (1773~1843)の手書き冊子より。タイトル名の人物はロスコモン州に土地を所有していた Mrs.Morton の一族に属していたのではないかと思われる。

13 
●サンセット・チャイルド ~ Sunset Child  
アイルランドのイニシュモア島にはとても美しい砂浜があってそこでの夕日の情景を夢想しつつ・・・ 

(Bonus Track )
14
●ヘンリー マクダーモット ロー ~  Henry MacDermott Roe
解説にある Alderford の MacDermott Roe ファミリーは生涯に渡り Carolan の主要なパトロンであり友人だった。タイトルの人物は MacDermott 家の長、又は長男の事を指していると思われる。より可能性の高い後者の人物は 1752年6月21日に亡くなった事が確認されている。尚 同タイトルの曲は現在3種類伝えられている。

 新しい画像

 

【CD解説本文】

アイルランドには18世紀末までハ-プを持って国中を旅し貴族達の為に曲を作り歌を捧げていた吟遊詩人の伝統があったが、その中で現在最も名高い存在なのが Turlough O’Carolan (1670~1738)である。18才の時天然痘で視力を失った彼は父親が働いていた工場の経営者である MacDermott Roe 夫人の援助によりハ-プを学び、3年の修業ののち馬と付き人を宛がわれて旅に出る。そしてそれまでのアイルランドの吟遊詩人の伝統にのっとり、各地の貴族や地主の為に歌を作りハ-プを演奏してその生涯のほとんどを旅で過ごした。その晩年妻に先立たれ自分ももう長くないと悟った彼は、病いをおして最初にハ-プを与えてもらい旅出たせてくれた Ballyfarnon の MacDermott Roe 夫人を訪ね沢山の感謝の言葉を残しつつ彼女の家でその一生を終えた。

盲目で旅から旅への人生と聞くと何か悲惨な印象を受けるかも知れないが生前の Carolan にまつわるエピソ-ドには楽しいものが多く、彼のパ-ソナリティ-みたいな部分が伝わってくる様で興味は尽きない。実際に彼はとても愉快な酒好きだった様で、ある時などは訪ねた先での振舞われる酒が少なかった事に腹を立てそこの女主人を皮肉った歌を作ったり、またその反面4曲もの初恋の女性に捧げた曲が残されていたりという何とも魅力的で人間らしい人物像が浮かび上がってくる。ただ中には妖精が出てくる様なエピソ-ドもあるので、後になって作られたであろう盲目の吟遊詩人にまつわるお伽話的側面も含まれてはいるのだが。

まずここで最初に忘れてはならない事は Carolan の音楽はあくまでもアイルランドの伝統音楽として語られるべきジャンルであるという事だ。Carolan 自身は当時流行していたイタリアのバロック音楽(彼にとっては同時代の最先端をゆく現代音楽だった)に心酔しそれを自分の音楽に取り入れようとしたが、結局彼によって生み出された曲の数々は本人の意志に関わらずアイルランド吟遊詩人の音楽を象徴するものとして後世に伝えられていったのである。

現在 Carolan の作品とされているものは200曲以上になるがここではオリジナル曲以外はすべてそれらの中から演奏している。各曲に関しては別項を参照していただきたいが、読んでもらえば分かる様にかなりの曲の出所は実に頼りない。その多くは Carolan の死後かなりたった時代に演奏されていたのを音楽収集家達が書き留めた楽譜が拠り所となっている。しかもそれらは長い間口伝で伝えられていた為変化もしているだろうし、まったく別の人物の曲が Carolan の作品として伝わった可能性も有りうる。

本来アイルランドの伝統音楽家は曲を譜面にして残すという事が無い為、現在までそのほとんどがメロディ-のみの形で伝えられている Carolan の曲も、実際に本人がどの様に演奏していたのかはまったく分かっていない。恐らくは当時のアイルランドのハ-プ奏者達と同様にかなり自由で即興的だったのではないかと思われ、同じ曲を演っても必ずしもそれが同じ演奏とは限らなかったかも知れない。例えば21才の時に作ったとされる有名な Sheebeg Sheemore を50才の Carolan が若い時とまったく同じスタイルで演奏したとは考えづらいのである。

どちらにしても当時の彼らの演奏すべてを正確に譜面に書き留めるのは不可能だったろうしあまり意味の無い事だろう。Carolan 自身どんな風に演奏したり歌ったりしていたのかは結局の所どこまでいっても空想の域を出る事はない。現代に生きる我々はハ-プを抱えた吟遊詩人達の調べに浮かれ踊っていた昔の人々に想いを馳せつつ、自分なりの Carolan 像を夢想し続けていくしかないのかも知れない。そして深い霧がかかり向こう側にある答えが永久に見えてこない様な彼らの音楽に、これからも自らのイマジネ-ションを掻き立てられ続けていくのではないだろうか。

ケルティックハープ奏者  坂上真清 

 

5

 

 

 

1st ソロアルバム 「クラルサッハ」

800×800

アイルランドのハープ音楽収集家エドワードバンティングがすでに数少なくなっていたハープ奏者を訪ねて曲を採集し出版した楽譜集から18世紀以前ハーパー達によって演奏されていた曲を集めた1stソロCD。使用したハープは現存する最古のケルティックハープの1つである15世紀クイーンメアリーハープのレプリカ。

宣伝コピーより
18世紀以前のアイルランドのハープ音楽を集めて編纂したEdward Bunting の楽譜から選曲した珠玉の10曲。14世紀の現存する最も古いブライアンボルーハープと同じタイプのハープを使い可能な限り当時の音色を忠実に再現したその響きは、だんだんと透明になっていく水面の様に聴く人の心を癒していく。

発売 バイオスフィア・レコード
販売 パイオニアLDC

現在オフィシャルネットショッブ ケルティックハープマーケット にてダウンロード配信中です。

制作秘話なども載っているクラルサッハのHPは こちら

 

YouTube

全曲1分前後の クロスフェード音源 アップしました。

●Wild Geese~Pipers Dance  PV

クラルサッハ発売20周年記念ライブより Bridget Cruise ~ Planxty Irwin 

01  Brian Boru’s March
02  Planxty Irwin
03  Open the Door Softly
04  O! White Maive
05  Irish Jig ~ Duish The Cat
06  Joice’s Tune
07  Princess Royal
08  Bridget Cruise
09  Wild Geese~Pipers Dance
10  Irish Lullaby

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【収録曲解説】

01 Brian Boru’s March
現在まで伝えられている曲の中でも最も古い曲の1つ。タイトルは11世紀のアイルランド王の名前に由来する。

02 Planxty Irwin
18世盲目のハープ奏者 Turlough O’Carolan の作品。友人の将校 Colonel Irwin が手柄を立てたのを祝って贈った曲。バンティング1809年の楽譜集より。

03 Open the Door Softly
バンティング1840年の楽譜集より。ベルファーストのハープ音楽祭にも出場したハープ奏者 Arthur O’Neil より採譜。

04 O! White Maive
バンティング1840年の楽譜集より。現在の北アイルランドの Armagh 地方にて1780年採譜。

05 Irish Jig / Huish the Cat
バンティング1840年楽譜集より。Irish Jig は1793年北アイルランドの Ballymoney という町で、Huish the Cat はハープ奏者 Charles Byme より1802年に採譜。

06 Joice’s Tune
Joyce’s Country Greeting というタイトルでも知られ、アイルランド西部にある地域の名前がついている。バンティング1796年出版。

07 Princess Royal or Miss MacDermott
現在2つのタイトルで知られている O’Carolan の作品。バンティング1840年出版。Arther O’Neil より1800年採譜。

08 Bridget Cruise (4th Air)
O’Carolan が初恋の女性 Bridget の為に作った曲で、現在4曲が残されている。

09 Wild Geese / Piper’s Dance
Wild Geese とは他国軍に加わってイングランドと戦ったアイルランド兵士たちの事。ハープ奏者 Patrick Quin より1803年採譜。
Piper’s Dance は Kiss me Lady のタイトルでも知られており、1779年バクパイプ奏者 McDonnel から採譜。1840年の楽譜集より。

10 Irish Lullaby
Is Im Agas Eiriu というゲール語のタイトルもついている。バンティング1809年出版の楽譜集より。

 無題

[CDライナーノーツ】

“Clarsach” この言葉はゲール語(ケルト民族の言葉)で「ハープ」を意味します。ハープはアイルランドの公式紋章とされているほど民族の象徴的な意味を持つと共に、古代ケルト時代より魔法の力が宿ると信じられてきました。
中世のハープ奏者達は王や部族の長に仕え、いにしえの伝説や叙情詩を語り、とても高い地位が与えられていました。後にハープを持って国中を旅し、貴族などの為に賛美の詩を作り唄うという吟遊詩人の伝統が18世紀までにアイルランドにはありました。

このCDに収録している全ての曲は、少なくとも18世紀以前にハープ奏者達によって演奏されていたものと推測されますが、その根拠はアイルランド民族音楽の収集家エドワード・バンティングにあります。18世紀末、すでに失われつつあったアイルランドのハープの伝統を守る為、1792年ベルファーストでハープ音楽祭が開催されました。全国に出演者を呼びかけましたが結局11人しか集まらなかったそうです。
その音楽祭以降ハープ奏者達が演奏した曲を書き留める事を任じられた彼は、アイルランド各地を旅して、当時すでにかなり減りつつあったハープ奏者達を訪ねて曲の採集を続けそれらの楽譜を出版しました。しかし彼はせっかく集めた貴重な曲を、当時のハープでは演奏不可能な鍵盤楽器用に編曲して出版してしまいました。その為現在バンティング本人に関しては評価の分かれるところです。

このCDにはそのバンティングの楽譜から8曲収録されていて、それらの曲を演奏する際に彼が厚化粧をしてしまった部分を、極力本来の旋律だと推測される形に戻し、そこに自分なりの薄化粧を施すという作業をしています。中にはほとんどすっぴんのまま演奏しているものもありますが、それはそれで十分美しいと判断した結果です。

なお今回演奏に使用したハープは、スコットランドのハープ製作者ティム・ホブロウが作った、柳の樹の胴体に真鍮の弦を張った14,15世紀の通称「ブライアンボルーハープ」又は「クイーンメアリーハープ」と呼ばれているもののレプリカです。

ケルティックハープ奏者    坂上真清